飯田線内のボトルネックとその改良方法、改良箇所について





飯田線は特急運行にあたって、スピードアップを阻む多くのボトルネックを抱えています。
その内訳は、「急曲線」、「急勾配」、「分岐器(ポイント)」、「ATS」、「最高速度」です。


1.「急曲線」

飯田線の急曲線



飯田線は線内に多くの急曲線を抱えています。
特に、飯田駅〜駒ヶ根駅、伊那駅〜辰野駅の山岳区間に集中しています。
このボトルネックの克服は難しく、大工事を行わないとスピードアップには繋がらない場所ばかりです。
このため、以下の改良を採用しました。

カント角の改良


 @スピードの出せる直線に挟まれた曲線に限定し、線路の傾き(カント角)を大きくし、通過速度を上げる
 A車体を傾け、曲線の通過速度を上げられる車両を導入する

@については、道路がそうであるように、線路を傾けることで曲線の通過速度を上げることができます。
改良箇所は、コスト抑制のため、直線の続く駒ヶ根駅〜伊那駅にある2〜3箇所の曲線のみとしました。

Aについては、自転車やバイクのように、列車を傾けることで曲線の通過速度を上げることができます。
いわゆる「振り子車両」などがこれに該当します。
曲線は飯田線だけでなく、中央線や篠ノ井線にも多く存在するため、車両の導入は必須になります。




2.「急勾配」

飯田線の一般的な駅構内の配線と急勾配

画像の奥に写っているように、飯田線のほぼ全域に急勾配区間が存在します。
急曲線と重複する区間も多く、列車の走行速度は非常に遅くなります。
直線区間でも思うように速度を出せません。このため、以下の改良を採用しました。

 @モーターの搭載数が多く、勾配でも加速力を維持できる車両を導入する。

こちらも、曲線と同じく勾配が中央線や篠ノ井線でも連続するため、必須になります。




3.「分岐器(ポイント)」

飯田線は単線のため、幾つかの駅には列車を行き違いさせるための交換設備があります。
この交換設備を構成する分岐器の角度がきつく、通過速度が25q/hにまで抑えられています。

分岐器の改良手法として、一般に「1線スルー」という方式が用いられていますが、
飯田線の交換設備のほとんどが、上の画像の様な、この方式が使えない配線となっています。
また、コストの抑制にも考慮が必要なため、以下の改良を採用しました。

 @スピードの出せる直線と直線に挟まれた駅に限定し、通過速度の高い分岐器に交換する


番数
(角度)
通過速度
(片側分岐器)
通過速度
(両側分岐器)
825q/h 40q/h
10 35q/h 50q/h
12 45q/h 60q/h
14 50q/h 70q/h
16 60q/h 75q/h
20 70q/h 80q/h


分岐器の種類と通過速度は表の通りとなっており、本案では8番分岐器(25q/h)から
16番分岐器(60q/h)に交換することとしました。
対象は、直線の続く駒ヶ根駅〜伊那松島駅の区間にあり、改良の効果が最も大きく
また改良工事が可能とみられる宮田駅、沢渡駅、北伊那駅、北殿駅の4箇所です。




4.「ATS」

本案での飯田線内の特急停車駅は、後述の7駅となっていますが、
この7駅以外に、ATSという列車制御装置が作動し、停車せざるを得ない駅が存在します。
ATSが作動する理由については、調べても分かりませんでしたが、以下の対策を採用しました。

 @特急の停車しない3駅(元善光寺、七久保、伊那福岡)のATSを停止させ、通過可能にする。




5.「最高速度」

飯田線内の最高速度は、直線が続く区間であっても85q/hに抑えられています。
このため、以下の改良を採用しました。



踏切・信号設備の改良

 @最高速度を85q/hから100q/hに引き上げ、85q/h以上を出せる区間の踏切と信号を
   この速度に対応できるよう改良する。





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