飯田線北部区間における特急列車運行の試算について
飯田線は、愛知県の豊橋駅から長野県の辰野駅までを結ぶ、
全長195.7qの長大ローカル線です。
愛知県の豊橋駅から長野県の飯田駅までは特急「伊那路」が走っていますが、
飯田駅から北へは、80年代末までに急行が廃止されて以来、優等列車は走っていません。
しかし、高速バスは1時間に1本の高頻度で、飯田線沿線にある飯田市・伊那市から
各方面へ走っており、特急を走らせるだけの需要は十二分にあると感じました。
また、2025年には中央リニアの開通も予定されています。BルートもしくはCルートになれば
飯田線がリニア駅と長野県内の都市を結ぶ重要な存在に成長する可能性が非常に高まります、
そこで、飯田駅から新宿駅や長野駅に向かう特急列車を試案してみました。
名古屋行きは、飯田から塩尻まで大迂回する必要があり、競争力無しと判断できるため試案していません。
天竜峡駅が始終点の場合については、各結果に丁度+15分していただければ求まります。
結果の概要について
飯田線内におけるボトルネックを調査し、費用・工期抑制の観点から、以下の改良などの実施を想定しました。
@ 2〜3箇所の局所的な曲線改良(カント修正)
A 直線区間での最高速度の引き上げ(85q/h→100q/h)と、これに伴う信号・踏切設備の改良
B 3駅でのATSによる強制停車の見直し(通過駅化)
C 4駅での分岐器の交換(8番分岐器:25q/h→16番分岐器:60q/h)
D 急勾配、急曲線に対応した車両の導入
E 線内で6駅、線外で既存特急と同等の停車駅の設定と、特急優先のダイヤ設定
その結果、長野行き特急については、最悪の場合でも飯田駅から辰野駅まで約1時間15分、
松本駅まで約1時間45分、長野駅まで約2時間40分で結ぶ事が可能との試算が出ました。
これにより、飯田〜長野を結ぶ高速バス(約3時間10分)に対し、約30分優勢です。
すなわち、飯田駅〜長野駅を結ぶ特急列車の実現性は十二分に有るという結論に至りました。
新宿行き特急については、最悪の場合でも飯田駅から辰野駅まで約1時間15分、
甲府駅まで約2時間25分、八王子駅まで約3時間25分、新宿駅まで約4時間で結ぶ事が可能
との試算が出ました。
これにより、飯田〜新宿を結ぶ高速バス(約4時間15分)に対し、約15分優勢です。
また、伊那〜新宿についても、高速バス(約3時間20分)に対し新宿行き特急は約3時間。
約20分優勢です。駒ヶ根については20分以上優勢であるという結果が出ました。
すなわち、飯田駅〜新宿駅を結ぶ特急列車の実現性は十分に有るという結論に至りました。
ただし、2025年に中央リニアが開通する計画があることから、運行させる場合、
2025年以降の方向性を固める事が前提条件として必須となります。
そして、リニア駅へのリレー特急としての飯田線特急の価値については、松本駅を基準とし
Bルート(伊那駅)の場合、名古屋行きで「しなの」に、品川(新宿)行きで「スーパーあずさ」に対し、
約50分優勢であるという結果が出ました。
このため、飯田線特急に多くの利用客が移ると考えられますが、同時に名古屋・東京への
直通特急である「しなの」「あずさ」が不利な状況に立たされ、減便や廃止となる可能性も出てきます。
Cルート(飯田駅)の場合、在来特急と同程度の所要時間になるという結果が出ました。
このため、松本市・長野市の旅客はリニア開通後も従来通り「しなの」「あずさ」を利用し、
飯田線沿線の伊那市・駒ヶ根市・飯田市の旅客がリニアを利用すると考えられます。
つまり、Cルートの場合、リレー特急としての価値は低くなります。
※以下、本文のメニューになります。詳細を見たい方はどうぞご覧になってください。※
参考文献、サイト
・ えきから時刻表
・ JR東日本:各駅情報
・ レール・アート
・ 姫新線姫路上月駅間電化促進期成同盟会
・ 中央東線の高速化に関する研究書
・ 鉄道線路のはなし,西野保行 著
・ JR東海
・ JR東日本
・ 日経BP社 ケンプラッツ
・ youtube
・ ニコニコ動画
・ wikipedia
・ 飯田線スレ