実現に向け自治体が取るべきアクションと、

2004年の特急運行計画頓挫の原因





こんなサイトを見る関係者なんて聞いたこと無いので独り言しますね(チラッ

とはいえ、「こんなも非現実的な計画では頓挫せざるを得なかった」と言える
2004年に立ちあがった計画の紹介と、その問題点ぐらいしか書くことがありません。
後は月並みの事ばかりでつまらないでしょうが、よければ覗いていってください(チラッチラッ



1.2004年の計画――飯田駅〜長野駅の特急列車試験運行

以下の線で区切られた文章が、計画が立ちあがった当時の新聞記事からの抜粋になります。



(信濃毎日新聞朝刊 2004年12月4日紙面より)

県は来年度、JRの協力を得て飯田―長野間の特急列車を試験運行することを検討している。
現在、直通の快速は四時間近くかかっており、高速バスより一時間程度遅い
特急は、途中の停車駅を五つくらいに絞り、二時間台で運行したい、としており、
JR側に通常ダイヤに組み入れるよう要望していく上で生かす狙いだ。

県交通政策課によると、試験運行は、平日の利用が多く見込める時間帯に一日一往復、
二週間程度を計画している。停車駅は、駒ケ根、伊那市、塩尻、松本、篠ノ井を予定。
どれくらい時間が短縮でき、利用者を見込めるか調べる。
試験運行は県が費用を負担。乗客には普通運賃(片道二千九百四十円)を払ってもらう予定だ。
ただ、区間は単線だったり、カーブも多く、空き時間に運行するため、
待ち時間が不明なこともあり、どこまで時間短縮できるかは分からない、としている。




文章中に出ている快速とは、飯田線を唯一走る快速「みすず」のことです。
しかし、その実態は「愛称の付いた普通列車」であり、残念ながら
快適な313系が使われている点以外に見るべきものはありません。

さて、この計画は実現することも無く、見事に失敗しました。
その次の記事に、その経緯が色々と記載されています。




(長野日報Webサイト 2005年3月3日掲載記事より)

飯田−長野の特急試験運行 県が棚上げ
中南信県議 再考を要請 田中知事は補正視野に検討約束

 中南信地域の県議会議員でつくる公共交通網整備中南信議員協議会(木下茂人会長)
は2日、JR飯田駅―長野駅間での特急列車の試験運行計画を県が棚上げしたことについて
田中康夫知事に説明を求めるとともに、再考を要請した。
田中知事は、飯田―長野間の高速バスの増便実験を新年度に行うことを示しながら、
6月補正を視野に改めて検討したい考えを明らかにした。

 県交通政策課が当初示した計画だと、JRの協力で県が費用を負担し、
平日に一往復、駒ケ根、伊那市、塩尻、松本、篠ノ井の5カ所を停車駅に2週間ほど試験運行。
利用者数などを調べ、JR側に通常ダイヤへの編入を要望したい考えだった。

 協議会は、「北高南低」の指摘のある公共交通網整備の地域間格差の解消を求め、
特急あずさの飯田線への乗り入れや、中央線の完全複線化など6項目を田中知事に求めていた。
県交通政策課は、このうち特急列車の試験運行と高速バスの増便実験について、
12月定例会前に立案し概要を説明していた。

 ところが、発表された新年度予算案には関係予算が計上されておらず、
「予算化は約束したこと。だから、しなの鉄道の103億円の債権放棄も認めた。信義に反している」
と県側に抗議。知事査定の段階で外されたことが分かり、この日の要請行動になった。

 県側は「最大で20分しか短縮できないことが分かった。バス増便の方が実現性が高い」と判断。
これに対し協議会側は、「最初から決めつけるのはおかしい。まず試験してみることではないか」と反論した。

田中知事も再考を約束した。



この結果を受けて、当時の掲示板サイトでは「しなの鉄道の債権放棄を納得させる為の餌」だとか
「バス会社のロビー活動で潰された」だとか「JR東海の怠慢」だとか大紛糾していました。
しかし、計画棚上げの理由はそんな複雑な物ではありません。

協議会が特急の試験運行を要望したこと自体、あまりに非現実的だったからにすぎないのです。



2.2004年の計画が挫折した原因


原因については、以下の通りになります。
本当ならばソース記事を提示できるはずでしたが、どこへやったか、どこで見つけたか・・・
全く見つからず思い出せずという状況です。本当に申し訳ありませんorz


 @事前にJR東海、JR東日本に対し根回しをしていたわけでもなく、突然
   特急の試験運行計画を立ち上げた。
 Aこれに対し、JRが十分な対応を出来るわけが無く、
   普段から運行されている普通列車や特急列車などの合間を縫って
   ようやく飯田から長野までの直通列車のダイヤを作った。

 Bもちろん、上記のような列車が本来の特急の様な速度を出せる訳が無く
   結果として「現在より20分しか短縮できない」臨時特急列車の予定がJRから県に提出された。
 CJRから受理した結果を見て、県は計画を断念した。


自分が2004〜2005年当時の記事で見かけた内容には、おおむね
上記のA〜Bについて書かれていました。@は記事からの推測、Cは周知の通りの事実です。

とはいえ、たとえ事前に入念な打ち合わせや根回しを行ったとしていても、
臨時で特急列車など設定できません。やろうとすれば大規模なダイヤ改正が必要になります。


つまり、この時は特急列車を実際に運行させるべきではなく、
コンサルタント業務の発注、つまり特急列車を運行させるためのデータを整えるべきでした。

高速バスと同じように、鉄道でも臨時便をすぐ設定できると考えたのでしょうが、
鉄道の運行はそんなに生易しいものではありません。事前の調査も無しに、鉄道で
いきなり本番をやろうとしても不可能なのです。そのような要望を出した時点で失敗は必然でした。



3.飯田線特急を実現させる為のステップ

では、実際に実現させようとするなら、どのような事をすればいいのか。
要は結果を急ぎ求めようとせず、通常のあらゆる計画と同様に、
必要な手順を一つずつ着実に行うだけです。

計画し、調査し、算出された結果を元に合意形成を行い、プロジェクトを実行に移し、
改良工事や特急車両の確保・製造を行って、最後にようやく特急が運行できるのです。

ただ、それだけの単純な話です。





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