リニア駅へのリレー特急としての飯田線特急の価値





リニア新幹線


飯田線特急を考えるに当たり、リニア中央新幹線は重要な存在です。
前章で算出した所要時間を基に、長野県内の主要都市とリニア想定駅とを
結んだ場合の時間や、在来特急との所要時間を比較しました。


1.リニアの想定ルート

JR東海が、各ルートの路線長を具体的に呈示していることから、飯田線に関係するB,Cルートも
正解に限りなく近づく「線」があるのは確実です。しかし、JR東海は詳細なルート図を公表していません。
このため、まず以下の条件を仮定し、巷に存在する推定図から「線」として用いる図を選定しました。


 @ルートは、土地収用を抑制するため市街地を横断しない。市街地の外縁を掠る様に接近し通過する。
 Aルートは、地質条件の比較的良い箇所を通過する。
   地質の悪い中央構造線にはむやみに接近せず、また、中央構造線沿いに並行しない。
 BCルートは、既に水平ボーリング調査が開始されている。Cルートはこの掘削箇所付近を通過する。
 Cリニアの最小半径は8,000mである。Bルートは、諏訪周辺でこの半径以上の曲線をとる。


以上の条件を満たした、現時点で最も優秀なルート予想図の一つとして採用したのが
日経BP社 ケンプラッツの土木記事に記載されていた下記の図です。
他の図にも、B,Cルートは概ね似た具合のものが多く見られましたが
自分の発見した中では最も見やすく、かつボーリング箇所を明示している図でした。


長野県内リニアルート図



2.リニア駅の設置個所

長野県はBルートを求めています。また、県内の駅としては「飯田駅」、「伊那駅」、「茅野駅」が
候補になっています。本案では、これらのうち飯田線に関連する2駅の他に、松本や長野に
最も接近するBルートの辰野付近を加えた計3か所をリニア駅候補地として想定しました。
詳細な地点を決定するための条件については、以下の通りとなります。


 @飯田線と交差する場合は、交差地点をリニア駅の設置個所とする。
 A飯田線と交差しない場合は、道路交通のアクセスを重視する。
   市街地に直結する主要道や、高速道路のICに最も接近する地点をリニア駅の設置個所とする。


以上の条件に3か所の候補地をルート図に当て嵌め、以下の通りしました。

飯田駅@ : 飯田市街より南、飯田線 駄科駅〜時又駅〜川路駅 での交差点。
飯田駅A : 飯田市街より西、県道 8号 との交差点。最寄駅は飯田駅とする。
伊那駅 : 伊那市街より西、国道 361号 との交差点。最寄駅は伊那市駅とする。
辰野駅 : 辰野市街より南、飯田線 伊那新町駅〜羽場駅 での交差点。

飯田駅@はCルート、飯田駅AはBルートでの飯田駅想定地点です。
辰野駅については、ルート図が辰野町の市街地を貫いてしまっているため、
南寄りにずらしています。



3.長野県主要都市からリニア駅までの所要時間

これらの駅を、先の飯田線特急のダイヤに当て嵌め、長野県内の主要駅から
リニア駅までの所要時間を表したのが下表になります。
バスの所要時間については、大雑把に見て5〜10分程度とします。

飯田駅@については、飯田駅からの所要時間を10分として算出しました。

             
   リニア
辰野駅
リニア
伊那駅
リニア
飯田駅A
リニア
飯田駅@
長野駅 1:29 1:43+バス2:40+バス 2:50
松本駅 0:36 0:50+バス1:47+バス 1:57
岡谷駅 0:15 0:29+バス1:26+バス 1:36
辰野駅 0:04 0:18+バス1:15+バス 1:25
伊那市駅 0:14 バス0:57+バス 1:07
飯田駅 1:11 0:57+バスバス 0:10


当然の結果ですが、長野県側からすれば、BルートがCルートに対し圧倒的な利便性を
もたらす事が見てとれます。Cルートになった場合、飯田駅@までは松本からは約2時間、
長野からは約2時間50分のかかるのに対し、Bルートの伊那駅ならば
鉄道とバスの乗り継ぎでも、それぞれ約55分、約1時間48分と大きな差が生まれます。
辰野駅が設置されるならば、その差はさらに拡大します。



4.リニア+飯田線特急と在来線特急の所要時間の比較

ここで、飯田線のリニア駅へのアクセス路線としての能力を考える時
長野県内の主要都市からリニア駅への所要時間も大切ですが、
既存の在来線特急である「あずさ」や「しなの」との競争力も重要になります。

リニアの所要時間は、名古屋〜品川の所要時間と走行距離から異常でない値を弾いてみました。
駅については、Bルートを伊那駅、Cルートを飯田駅@としました。
「しなの」と「あずさ」は平均所要時間、「スーパーあずさ」は最速便の所要時間を採用しています。
飯田線特急は、伊那駅と飯田駅@について、乗換え5分で算出します。
バスの所要時間を含む場合については、「0:00〜0:00」で表示します。



       
    リニア伊那駅
+(飯田線特急+バス)
=所要時間
 リニア飯田駅@
+飯田線特急
=所要時間
スーパーあずさ あずさ しなの
松本駅〜
名古屋駅
0:19+0:55〜1:00
=1:14〜1:19
0:17+1:57
=2:14
    2:10
松本駅〜
品川駅・新宿駅
0:31+0:55〜1:00
=1:26〜1:31
0:25+1:57
=2:22
2:25 2:50  


リニアの所要時間は大雑把な推測しかできていないため、数分の誤差を含みます。ご容赦ください。
上記からの結果からは、少なくとも松本駅を起点とした場合、

Bルート(伊那駅経由)であれば、在来特急よりも飯田線特急+リニアが圧倒的に有利であり、
Cルート(飯田駅@経由)であれば、在来特急と同等程度の所要時間になる


ことが言えます。長野駅〜名古屋駅についても、3章の結果からほぼ同様であると断言できます。
飯田線沿線の伊那市、駒ヶ根市、飯田市については、ルートに関わらず、在来特急よりも
飯田線特急+リニアが所要時間で圧倒的に有利であるといえましょう。


ただし、ここで一つ気をつけなければならない重要な点があります。
Bルートの場合では、東京・名古屋から長野県有数の都市である松本市、長野市に
直通する在来特急が、飯田線経由でのリニア乗り継ぎに対し、圧倒的に不利な立場に
置かれることになります。これは同時に

リニアがBルートに決定した場合、名古屋駅・新宿駅から松本駅や長野駅に直通する
「しなの」「あずさ」の大幅な減便の可能性が高く、最悪の場合、廃止も有りうる
 事を意味します。

リニア駅への連絡手段として飯田線特急の価値はCルートよりもBルートの時に
非常に大きくなりますが、同時に、多大とも言える犠牲を生む可能性を孕んでしまうのです。





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