特急列車の試算結果と、高速バスとの所要時間比較





「飯田線内のボトルネックとその改良方法、改良箇所について」および
「特急列車の車両、停車駅、ダイヤの設定について 」で設定した条件を基に、
試算された結果と他の交通機関との比較を行います。




※表の手前で大きな改行が入る不具合が発生しています(´・ω・`)ナオラネェデゴザル



1.特急列車の試算結果@ 飯田線内の所要時間

まず。飯田線内での試算結果は、以下の表の通りとなりました。

比較のため、現在の普通列車とかつての急行「こまがね」の所要時間を並べています。
また、駅については、全駅間の所要時間を記載するのが理想ではありますが、そんなことをすると
大変見づらくなるので、急行「こまがね」の停車駅に絞ることとしました。

                                   
停車(通過)駅 普通 253M 急行
こまがね3号
飯田線特急
(試算結果)
飯田0:000:000:00
元善光寺0:080:060:06
市田0:140:100:08
伊那大島0:240:190:14
飯島0:520:410:35
駒ヶ根1:060:530:45
伊那市1:261:090:57
伊那松島1:411:201:05
辰野1:561:331:15

線路の状況にもよりますが、一通過駅あたり、0秒〜60秒程度の短縮で算定しています。
このため、線形に恵まれている飯田駅〜伊那大島駅、駒ヶ根駅〜伊那松島駅の区間で、
所要時間をより短縮できているような形になります。

「いくら急行と比べてたからと言って、辰野駅まで(走行距離66.4q)で20分も短縮できるの?」
と思われる方もいるでしょう。自分ですら、この数字が出てきた時は結果を心底疑ったくらいです。


しかし、急行「こまがね」のダイヤは1980年代末、二十数年前のものです。
当時の車両と、現代の車両とでは性能に雲泥の差があります。
にもかかわらず、「こまがね」は当時すでに飯田駅〜辰野駅を最速1時間35分未満で結んでいます。

また、JR化されてからはPC枕木の導入など、地味に地上設備もグレードアップなされています。
加えて本案では、新型車両の導入や停車駅の削減、各種の改良策も行うことと仮定しています。

更に言えば、この数字は改良案のうち、カーブ改良や分岐器の交換を反映していません。
これらは結果を纏め上げきってから、保険の為に入れた項目だからです。


飯田駅〜辰野駅の約1時間15分は、懸念無く実現できる数字なのです。




2.特急列車の試算結果A 中央線、篠ノ井線での所要時間

次に、中央線、篠ノ井線での試算結果は、以下の表の通りとなりました。
新宿駅〜松本駅の区間は、既存特急と同じ所要時間で算出しています。

                 
停車(通過)駅 長野行き 新宿行き
辰野1:15 1:15
岡谷1:26 1:26
塩尻1:36
松本1:47
篠ノ井2:32
長野2:40
甲府 2:23
八王子 3:25
新宿 3:57

駅間の所要時間は、中央線では現行特急とほぼ同一としているので、特に説明はしません。
停車時間については、長野行き、新宿行き共に岡谷駅で3分確保しています。
これはそれぞれ方向転換、「あずさ」との併合分離を想定しているためです。
松本での停車時間2分は、「しなの」でも2分停車を行っているため、これに合わせています。


辰野駅〜岡谷駅の区間は、80年代に岡谷駅〜塩尻駅に短絡トンネルが開通して以後、
優等列車の走らなくなったいわゆる「中央線の旧線」です。
急曲線が連続しており、飯田線同様スピードが出し辛くなっています。
このため、この区間は距離はありますが、短縮時間は少ないと見積もっています。

篠ノ井線の松本駅〜長野駅も、急勾配と急曲線が連続する難所になっています。
本案での飯田線特急用車両は廉価版のため、想定する性能は「しなの」の383系に劣ります。
このため、同区間は「しなの」より5分長い所要時間で結ぶものとして計算しています。




3.高速バスとの比較結果

高速バスの時刻表の詳細については、【こちらのページ】をご参照ください。
飯田・伊那〜長野・新宿行きの高速バスについて、片道の本数と所要時間を下図に記載しました。

高速バスの路線と本数

図中で重複している区間、例えば飯田〜松本であれば、合計15本の高速バスが設定されている事になります。
ただし、途中停車駅は高速道路のバス停になるため、利便性と市街地からの所要時間は劣ります。
この図から、伊那地域から各方面へ高速バスがかなりの頻度運行されいること、また
長野・松本よりも首都圏へ向かう需要がずっと大きいらしい事が見てとれます。

高速バスの所要時間と、飯田線特急の想定所要時間などを比較したものが下の表になります。

飯田〜長野間での比較
                               
停車駅 飯田線特急
(試算結果)
高速バス
飯田〜長野
高速バス
飯田〜松本
飯田0:000:000:00
駒ヶ根0:450:460:46
伊那0:570:590:59
辰野1:151:101:10
岡谷1:261:23
塩尻1:36
松本1:471:441:55
長野2:403:10

次に、飯田〜新宿間での結果です。こちらは伊那が起点の高速バスもあるため、
新宿を起点に計算しています。

                               
停車駅 飯田線特急
(試算結果)
高速バス
新宿〜伊那
高速バス
新宿〜飯田
新宿0:000:000:00
八王子0:310:420:42
甲府1:33
岡谷2:28
辰野2:413:063:06
伊那2:593:253:17
駒ヶ根3:113:503:30
飯田3:574:16

これらの結果を纏めると、以下の4点の事が言えます。




 @いずれの区間でも、高速バスに対して所要時間は短くなっており、優勢である。

 A長野行き特急は、松本までは高速バスとほぼ同じ所要時間である。ただし、松本行きの
   高速バスは松本ICから市街地(駅前)までの下道走行でロスがあり、鉄道が約10分優勢である。

 B長野行き特急は、長野までの所要時間が高速バスに対し30分優勢である。
   これは長野ICからの下道走行距離が長い事に起因する。

 C新宿行き特急は、辰野以南では高速バスに対し、いずれの駅でも約20分の優勢を保っている。

 D新宿行き特急は、駒ヶ根までの所要時間が高速バスに対し約40分優勢である。
   これは伊那ICからの下道走行距離が長い事に起因する。





以上の結果より、特急列車が高速バスに対し強い優位性を持ち得る事がわかります。
このことから、飯田駅〜長野駅を結ぶ特急列車の実現性が十二分に、
飯田駅〜新宿駅を結ぶ特急列車の実現性が十分に有る
と判断しました。

ただし、新宿行きの特急については、2025年にはリニア新幹線が開通する予定であるために
直通特急を設定するべきかどうかについては難しい判断を迫られることになります。
このため、以下の2案を想定しています。

@長野行き特急が岡谷駅で「あずさ」との接続を図ることで、需要を満たす。
Aリニア新幹線の開通後は、車両を長野行き特急に転用し、県内主要都市とリニア駅との接続を強化する。



4.乗用車との比較について


高速道路を走行する乗用車の所要時間は、個人差はあるものの高速バスよりも圧倒的に短くなります。
また、ドア・ツー・ドアが可能という絶対的な強みもあります。渋滞さえ無ければ乗用車の一人勝ちです。
このため、調査や比較は行っていませんが、乗用車に対し特急の時間的優位性は無いと推測します。
飯田線特急にとって最も重要なのは高速バスとの競争力ではなく、自家用車に対し
いかにメリットを確保し、旅客を公共交通にシフトさせるかになるでしょう。





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